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山本元帥の遺骨を護衛

5月17日、16時42分、出港、海風は武蔵を護衛して横須賀に回航することになった。
「聯合艦隊の旗艦が、何故この時期に」重ね重ねの不可解な行動に気付いた者は居たようだが、この時武蔵には山本長官の遺骨が搭載されていたことや、既に武蔵には古賀峰一大将が聯合艦隊司令長官として座乗していた事を知っている者は1人も居なかった。
それどころか、下士官兵の殆どは長官戦死の真実さえ確認していなかったのである。
大和は、これより先の5月8日にトラックを出港して呉に向かったと言うことだったが、これも何らかのトリックであったことは間違いない。
22日、8時、海風に護衛された武蔵は木更津沖に投錨した。
この前日大本営は、
『山本五十六聯合艦隊司令長官は、本年4月前線において全般作戦指導中敵と交戦、飛行機上にて壮烈な戦死を遂げられたり』と発表し、同時に内閣情報局からは、山本五十六海軍大将には元帥の称号を与えられ、大勲位功一級に叙せられ国葬が行われることを公表した。
山本長官の遺骨は23日、東京芝の水交社に安置され、月末まで一般の弔問を受け付けられた。

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