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内南洋危機

8月12日、涼風は一足先に出港したが、海風は新たに装備した電波探信儀の機能試験を済また後、8月16日に出港して、第5特別陸戦隊員を乗せて内海に向かった。
翌17日、10時、内海西部に入泊すると、直ちに陸戦隊員を輸送船に移して、13時、出港し、洋上訓練を繰り返しながら23日、8時24分、トラックに入港した。
恰度同じ頃涼風も4戦隊(愛宕・高尾)を護衛して入港して来た。
この頃のソロモン海域は陸、海、空共完全に敵の支配下に陥り、増援物資の補給はおろか、撤退さえもままならない状態になっていた。
敵は補給航路の遮断は水上艦艇にゆだね、制空権の範囲を外南洋全般に拡げながら順次そのほこ先を内南洋にまで延ばし始めたのである。
両艦は25日、13時出港、物件を搭載してラバウルに送り届け、28日にはもうトラックに帰投すると言う過酷な行動だったが、その間にも敵機の接触は避けられない程の戦況になっていた。
軽巡川内せんだいを始め、駆逐艦夕霧・大波・巻波・初風等が悉く敵水上艦艇の毒牙に罹ったのもこの後間もない時期だった。


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